『日経ソフトウエア 2022年9月号』の連載記事「ゲーム理論」で、提携形ゲームの例として、「学園祭ゲーム」が挙げられていました。
3つのサークルが出店して得られる利益は以下のとおり
 (1) 3つのサークルが個別に出店する:
    Aは9万円
    Bは6万円
    Cは3万円
 (2) 2つのサークルが一緒に出店する:
    AとBのペアは23万円(このときCは3万円)
    AとCのペアは20万円(このときBは6万円)
    BとCのペアは11万円(このときAは9万円)
 (3) 3つのサークルが一緒に出店する:
    27万円
3つのサークルが一緒に出店したときの利益の分配をシャープレイ値で解いており、結果は以下のとおりでした。
  Aが14万円
  Bが8万円
  Cが5万円
提携形ゲームにはその他の解もあります。ここではこの問題を仁で解いてみます。
仁は不満の量を小さくするように利益の分配を決める方法です。
3つのサークルが一緒に出店したときの利益の分配を以下のとおりとします。
  Aの利益は\(x_A\)
  Bの利益は\(x_B\)
  Cの利益は\(x_C\)
各サークルが個別に出店した場合、2つのサークルが一緒に出店した場合の不満の量は以下のとおりです。
| 提携 | A | B | C | AとB | AとC | BとC | 
|---|---|---|---|---|---|---|
| 不満の量 | \(9-x_A\) | \(6-x_B\) | \(3-x_C\) | \(23-(x_A+x_B)\) | \(20-(x_A+x_C)\) | \(11-(x_B+x_C)\) | 
BとCの不満の量を\(x_A\)で表します。
\(x_A+x_B+x_C=27\)より、\(x_B+x_C=27-x_A\)なので、BとCの不満の量は、
$$
11-(x_B+x_C)=11-(27-x_A)=-16+x_A
$$
となります。
Aの不満\(9-x_A\)、BとCの不満\(-16+x_A\)の大きい方の不満が最小となるのは、
$$
9-x_A=-16+x_A
$$
のときです。
これを解いて、
$$
x_A=12.5
$$
が得られます。
\(x_A=12.5\)のときの不満の量を\(x_B\)で表すと、
| 提携 | A | B | C | AとB | AとC | BとC | 
|---|---|---|---|---|---|---|
| 不満の量 | \(-3.5\) | \(6-x_B\) | \(-11.5+x_B\) | \(10.5-x_B\) | \(-7+x_B\) | \(-3.5\) | 
となります。
このなかで、最大の不満の量を考えます。
Bの不満の量\(6-x_B\)とAとBの不満の量\(10.5-x_B\)はAとBの不満の量が大きく、Cの不満の量\(-11.5+x_B\)とAとCの不満の量\(-7+x_B\)はAとCの不満の量が大きいです。
この2つの不満の量の大きい方が最小となるのは、
$$
10.5-x_B=-7+x_B
$$
のときです。
これを解いて、
$$
x_B=8.75
$$
が得られます。
\(x_A、x_B\)が求まりましたので、
$$
x_C=27-x_A-x_B=27-12.5-8.75=5.75
$$
となります。
以上より、
  Aが12.5万円
  Bが8.75万円
  Cが5.75万円
が得られました。

 
